韓国系アメリカ人で、アメリカで活躍中の俳優スティーヴン・ユァン。
「「アジア人の割には、演技がうまい」というアメリカ人の認識を変えたい」
と語るほどの抱負を持ち、それに見合う活躍をすることで、アメリカだけでなく、韓国でも注目されています。
そこで、以下では、そんなスティーヴン・ユァンの活躍が楽しめる作品4つを、ご紹介したいと思います。
スティーヴン・ユァン出演の厳選ドラマ:「ウォーキングデッド」
アメリカのドラマ・「ウォーキングデッド」。いわゆる「ゾンビドラマ(劇中では、「ゾンビ」という表現を使わないことでも、話題を呼びました)」である本作で、スティーヴン・ユァンは、とても逞しく、同僚と連帯しながら彼らを守ろうとする男・グレン・リー役を演じました。
このグレン・リーという役について、スティーヴン・ユァンは
私と同じ韓国系アメリカ人。平凡な人で、体格も大きくなく学生時代にはいつも運動ではビリであったこと。そして、自分は「平均以上はいける」ことを、常に証明しなければならなかったことが、私と同じです。
と述べ、単なる役を超えた、自分との同質感を感じるとしたスティーヴン・ユァン。それだけに、この役に対する彼の愛情は並みならぬものであり、最初は彼のキャスティングに否定的な意見を示していたアメリカのドラマファンからも、大変良い評価を受けました。
そして、そのような努力は実を結び、スティーヴン・ユァン、本作で、俳優として初めてブレークすることとなります。
演技も、大衆性も全て満点であった「ウォーキングデッド」でのスティーヴン・ユァン。
彼と言えば、とりあえず「ウォーキングデッド」と言えるほど、おすすめです。
スティーヴン・ユァン出演の厳選映画1:「オクジャ」
スティーヴン・ユァンの「ウォーキングデッド」での成功は、韓国でも話題を呼び、一躍有名になりました。
そして彼は、韓国の映画・ドラマ監督からも多くのオファーをもらうこととなりましたが、その中から、彼が選んだのは、あの映画「パラサイト」の監督・ポン・ジュノ。ポン・ジュノは、自分の二つ目となる英語の映画(一つ目は「スノーピアサー」)に、スティーヴン・ユァンをキャスティングすることとなります。
その映画は、豚と少女が、韓国とアメリカを行き来しながら友情を育み、冒険をするという独特な設定の映画・「オクジャ」。
この映画でスティーヴン・ユァンは、動物保護団体のメンバーで、ユーモアあふれる「K」という役を演じました。
「「オクジャ」を撮影しながら、自分が信じる監督と仕事をすれば、演技も本当に楽で自然になる、ということが分かりました」
と語るほど、ポン・ジュノ監督に対する強い信頼を見せたスティーヴン・ユァン。ポン・ジュノ監督も、彼のことを韓国名「ヨン・サンヨプ」で呼ぶほど仲良くし、とても楽しい雰囲気で撮影をしていたそうです。
そのおかげでしょうか。「オクジャ」のKは、典型的ですがどこか独特な、魅力的なキャラクターとして仕上がりました。
スティーヴン・ユァンの演技の幅が広がった一作で、お勧めです!
スティーヴン・ユァン出演の厳選映画2:村上春樹原作の「バーニング」
スティーヴン・ユァンは、ポン・ジュノ監督を通して、もう一人の大監督に出会うこととなります。それは、「ポエトリー アグネスの詩」でカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した、監督兼脚本家のイ・チャンドン。
友人のポン・ジュノを通してスティーヴン・ユァンに連絡したイ・チャンドンは、彼を、日本の作家・村上春樹の「納屋を焼く」を原作とした、自分の映画「バーニング」にキャスティングしました。
この作品で主役のベン役を演じたスティーヴン・ユァン。英語をメインとして使った今までとは違い、本作では、はじめて韓国語メインとしての演技に挑戦しました。
韓国語の演技を心配する声も多かったのですが、スティーヴン・ユァンは、それまでの作品で見せてくれなかったミステリーな魅力をこの映画で発散。心配の声を払しょくさせ、同映画への高評価に一助しました。
日本人に嬉しい村上春樹原作、かつスティーヴン・ユァンの初の韓国語演技挑戦。いろいろ気になるこの映画、お勧めです!
スティーヴン・ユァン出演の厳選映画3:「ミナリ」
このような活躍に基づき、彼は、第93回アカデミー賞(2021年4月25日(現地時間))に注目される映画に出演することとなります。それは、「ミナリ」。1980年代、アメリカに渡った韓国の移民1世代家族が、農場を作り、そこでどこでも逞しく成長してくれる芹(韓国語で「ミナリ」)を育てながら、自分たちもそのセリの如く逞しく生きていく姿を描いた映画です。
本作でスティーヴン・ユァンは、主演のジェイコブ・イー役を演じただけでなく、その映画の製作にも参加しました。
「ウォーキングデッド」での役が、彼自身が投影されたものだとすれば、この「ミナリ」の役と映画内容は、まさに、スティーヴン・ユァンのお父さん世代の話そのもの。実際、一緒にこの映画を見たスティーヴン・ユァン父子は、涙が止まらなかったそうです。
この投稿をInstagramで見る
「(移民1世代の父と2世代の私との間には)文化・言語的な違いのため、いつも父に対する理解が抽象的なレベルに留まっていたが、この映画を通して、父という人を、やっと理解できるようになった」
と語ったスティーヴン・ユァン。彼にとって、この映画は、俳優としての活躍のみならず、自分のアイデンティティーにも触れた、感慨深い一作となったようです。スティーヴン・ユァンのファンにとっては、見逃したくない映画ですね!
コメント