Netflix台湾ドラマ『次の犠牲者』シーズン1・怖くて最後まで見られない人にちょっぴりネタバレ

台湾ドラマ

2020年にシーズン1、そして2024年にシーズン2がNetflixで配信された台湾ドラマ『次の犠牲者』。グロテスクなシーンが多いため「気になるけど最後まで見られなかった」という方もいたのではないでしょうか。

こわいもの見たさで観はじめたのですが、全体的な構成、人間関係を巧みに利用したストーリー展開などおすすめ要素がたくさんあるドラマだったので、紹介したいなと思います。

台湾ドラマ『次の犠牲者 シーズン1』のあらすじ

主人公はアスペルガー症候群の鑑識官、ファン・イ―レン。自分の職務を完璧にこなす彼には、アスペルガーの特性ゆえに疎遠になってしまった元妻と一人娘、ジャン・シャオモンがいます。
孤独なファン・イ―レンはますます天職である鑑識の仕事に没頭していきます。

ある日、ホテルのバスタブで全身がドロドロに溶けた身元不明の遺体が見つかることから物語は始まります。この描写がなかなかグロテスクで、ここで視聴を脱落する人がいるのではないかというくらい。この後も謎の死に方をした遺体が次々と見つかります。

調べを進めていくうち、天才的な観察眼と記憶力を持つファン・イ―レンは、疎遠になっている自分の娘がこの事件に関係しているのではないかということに気づいてしまいます。現場近くの防犯カメラに映る自分の娘。彼女はこの事件にどう関係しているのか。

ファン・イ―レンと娘が疎遠になった悲しい過去や、うまくいかない人間関係。イ―レンの生きづらさや、彼に関わり傷ついてきた人たちの様子や亡くなった人たちの人生も織り交ぜながら、物語は進んでいきます。
このドラマは衝撃的なシーンは多いですが、単なる連続殺人モノドラマではなく、アスペルガー症候群の人の生きづらさ、そして周りにいる家族の苦しみ、生きていくことの難しさ、そして人を愛するということには色々な形があるのだということをとても上手に書き上げている作品だと思います。


台湾ドラマ『次の犠牲者 シーズン1』のキャスト

ファン・イ―レン

孤高の監察官、ファン・イ―レン。プライベートでも職場でも彼を理解してくれる人は極めて少ないが、その仕事ぶりは信頼されています。

ファン・イ―レンを演じるジョセフ・チャンは17歳のとき、台北の地下鉄で映画監督の易智言(イー・チーヤン)にスカウトされ、演技の道を志すことに。最初の動機は「車を買うため」だったと語っています。どんなことがきっかけで、スカウトされたんでしょうね。この監督がどうして彼をスカウトしたのか気になります。

ジョセフ・チャン本人曰く、非常に内向的であり以前は「社交が苦手」と公言していたそうです。しかし、最近はインタビューで自らの考えや感情を率直に語れるようになったんだとか。

そのため以前は、世間からは「近寄りがたい印象」を持たれるタイプであったようですが、家庭を持ち、子の親になったことで「責任感が増し、自分自身の小さな世界から広がった」と語っています。私も同じタイプなのですごくよくわかります!「人はなかなか変わらない」なんて言う人もいますが、人って結構変わるものですよ。

また、父親役を演じる際には、実際の父親としての経験が役に深みを与えていると感じており、「子どもの存在が役の重みを変える」と述べていたそうで、このドラマを見ていてもなるほどそうなのかも!と思える演技がたくさんありました。

シュー・ハイイン

事件を追う敏腕記者シュー・ハイイン。最初はイ―レンとすれ違っていましたが、次第に彼と協力して事件究明に奔走します。ドラマでも準主役くらいの重要な役になっています。

スクープを取るところに貪欲なところもありますが、一方で正義感も強く、頼もしい存在です。のちに数少ないイ―レンの理解者となっていきます。

シュー・ハイインを演じているのはシュー・ウェイニン(許衛寧)、日本ではティファニー・シューという名前の方が知られているようです。父親はイタリア系アメリカ人、母親は台湾人で、彼女は台湾でバイリンガル環境で育ちました。

2003年にモデルデビューしたのち、翌年に俳優活動を開始。プライベートでは俳優の邱澤(ロイ・チウ)と結婚し、2025年には男の子を出産しています。


チャオ・チョンクワン

ベテラン刑事チャオ・チョンクワン。最初はファン・イ―レンとぶつかっていますが、次第に彼のよき理解者に。一見無骨な印象ですが、情に深い人です。

チャオ・チョンクワンを演じているのはワン・シーシェン(王識賢)。歌手としてデビューし、その後俳優としても知られる存在へ。

私生活では2004年にホワン・リーユンと結婚。雑誌GQの特集『ワン・シーシェンの10のマストアイテム』では 老眼鏡や書き込みセリフがびっしり書かれたノート 、イヤホン、数珠、バッグと言った普通の50代男性っぽいもののほかに、「ベッカムユニフォーム(彼はサッカー少年だったそうです) 」「ベッカムサイン入り写真」「クライベイビー(娘にもらった人形)」「サッカーボール」「香水」なんていうのもあって、ちょっとお茶目な少年のような部分も見せてくれました。

ジャン・シャオモン

事件の鍵を握るファン・イ―レンの娘、ジャン・シャオモン。幼いころは父親が大好きな女の子でした。ある事故をきっかけに父親と大きな溝ができてしまい、今ではどこで何をしているのかも不明です。

ジャン・シャオモンを演じるのは若手女優のムーン・リー(Moon Lee 李沐)。今作品で第55回金鐘奨で最優秀新人賞を受賞した、今台湾でも大注目の若手俳優のうちの一人です。

ムーン・リーはもともと芸術に深い関心があり、ファッションデザイナーを夢見て台湾の大学に入学。その後専攻を彫刻に変更し、ロンドンの大学で美術学士号を取得したという才媛です。


台湾ドラマ『次の犠牲者 シーズン1』のみどころ

緻密な描写

こだわりの強い鑑識官が主人公のドラマということもあって、事件現場の描写がとても緻密に描かれています。

ベテラン刑事でもすぐには気づかない、ほんの小さな違和感。
違和感と違和感をつないでいく。点と点を線にしていく。そして次の被害者が出ないことを祈って事件を追っていく。

マイノリティとマジョリティ、多様な社会の人間関係

主人公はアスペルガーの鑑識官。一般的にマイノリティーと言われる人です。でも普段私たちが「マジョリティ」「一般的な人」「普通の人」と思っている人たちにだって、他人にはなかなか理解してもらえないと思っている感情やバックグラウンドを持っています。

外からはなかなか分からないそれぞれの苦しみや、事情、他人との関わり方。それぞれの言い分。
私たちは日ごろ、つらいことがあると「自分が一番大変…」と思ってしまいがちですよね。でも辛さは人それぞれ。自分の目線だけで判断してはいけないなと改めて思いました。
「多様性って何だろう」ということや、誰の助けも得られない社会的弱者についても深く考えさせられる作品にもなっています。

自殺、そして生きるということ

このドラマの裏テーマは「自殺」です。なので、ちょっとメンタルがよわっているな…と言うときには、もしかしたら視聴を避けた方がいいのかもしれません。
事件現場の描写にギブアップする人もいれば、登場人物に感情移入して視聴をやめる人もいるかもしれません。

死ぬ事より生きることの方が辛いという人たちがいるという現実。
死んだ人と、生き残った人。そして残された人たち。
生きることと死ぬことについても考えさせられるドラマでした。

父と娘

小さいころは父親が大好きだったシャオモン。その父と娘の絆を引き裂いたのは、あろうことか父親のファン・イ―レン本人だったのです。深い後悔と娘への愛情をうまく伝えられないイ―レンですが、シュー・ハイインなど周りの人の手を借りながら、少しずつ過去と向き合っていこうとします。

一方のシャオモンは、父の元を離れてから過酷な人生を送っていました。母は病に倒れ、長く寝込んだ後に他界。独りぼっちで社会に放り出された少女は、頼るあてもなく必死にもがいて生きていました。深く傷ついた彼女が救われますようにと願いながら見ました。

クライムサスペンスが好きだったので、軽い気持ちで観はじめた『次の被害者 シーズン1』でしたが、こんなにいろいろな感情が沸き起こるドラマだとは思ってもみませんでした。
次回はシーズン2についても書いていきたいと思います。


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