ヒッチコックの映画『サイコ』を基に作られたドラマ『ベイツモーテル』。TVドラマならではの時間をかけてゆっくりと病んだ精神を表していくことで、映画版とはまた違ったノーマン・ベイツを見ることができます。あなたの近くにもこんな感じの人、いませんかぁ。
海外ドラマ『ベイツモーテル』のノーマンにモデルがいるって本当?実話なの?(ネタバレあり)
『ベイツモーテル』は1960年のヒッチコック映画『サイコ』の主人公であるノーマン・ベイツがどのようにしてサイコキラーになっていったのか、というところに着目して作られたドラマです。ちょっとクラシカルな車やファッションが出てきますが、このドラマは「現代にノーマン・ベイツがいたら」という設定で話が展開されていきます。
映画『サイコ』とは
マリオンという女性が大金を持ち逃げするところから話は始まります。彼女は逃げる途中で”ベイツ・モーテル”という名のモーテルに泊まります。そこはノーマン・ベイツという男が経営しているモーテルで、彼は精神を病んだ母親と2人で暮らしています。最初は愛想よくマリオンに話しかけるノーマンでしたが、マリオンとの会話の中で、彼女が何か後ろめたいことをしていることに気づきます。一方、マリオンは自分のしていることを後悔し、明日になったら会社に戻りお金を返そうと決め、シャワーを浴びます。と、そこへ侵入者が…マリオンがシャワーを浴びているところに襲い掛かり、彼女は殺されてしまします。(ここ、超有名なシーンです。めちゃ怖い。) マリオンの叫び声を聞き部屋に駆け付けたノーマンはそこで惨たらしく殺されたマリオンの姿を発見します。「これはきっと母親の仕業に違いない」と考え、証拠隠滅し、母親をかばうためにマリオンの死体を裏の沼地に沈めます。そんな危ない人がモーテルなんて経営しちゃダメでしょう。
一方、マリオンの会社はマリオンと大金が消えていることに気が付き、その行方を追うために私立探偵を雇います。探偵はベイツモーテルを探し当て、そこにマリオンが泊まっていたこと、足取りがそこで途絶えていることを確信します。ノーマンの言動を不信に思った探偵はノーマンの屋敷に忍び込むのですが、そこで誰かに襲われ、殺されてしまいます。
探偵とも連絡が取れなくなったことでマリオンの愛人と妹が動き出します。マリオンがいなくなったこと、探偵とも連絡が取れなくなったこと、探偵がノーマンの母親を不信がっていたことなどを保安官に告げます。でもそこで、保安官に意外な事実を聞かされます。なんとノーマンの母親はとうに亡くなっていたのです。殺人者は女装したノーマンだったのです。自分が人を殺してしまったことに気づいてないなんて怖すぎる!音楽もめちゃ怖くてゾクゾクします。
ドラマ版『ベイツ・モーテル』では最終章で原作とは大きく異なる展開になっています。ノーマン・ベイツはどうなるのでしょうか。
ノーマン・ベイツのモデル
実はこのノーマン・ベイツにはモデルになった人がいるんです。エド・ゲインと言います。エドは裕福な農場に生まれ、信仰心の篤い母親に厳しく育てられます。その厳しさは、今で言う「毒親」と言えるようなものでした。息子に友達を作らせなかったり、女性に興味を持つことは罪であると言い聞かせていました。エドは母を崇拝し、女性への興味をゆがんだ形で発散させていったのです。『ベイツモーテル』が『サイコ』の前日譚だとは聞いていましたが、まさか実話が基になっていたとは知りませんでした。毒親っていつの時代にもいたんですね。今みたいに簡単に情報が手に入る時代ではないですから、隔絶された環境の中で母親に洗脳されるというのはそう難しいことではなかったのかもしれません。
海外ドラマ『ベイツモーテル』のキャストを紹介① ノーマン役は誰?気持ち悪い演技がうまい!ノーマンって死んじゃうの?
ノーマンの顔を見て、「どこかで見たことがあるな…」と思った人はいませんか?そう、彼はティムバートンの『チャーリーとチョコレート工場』でチャーリーを演じていたあの男の子です!彼の名前はフレディ・ハイモア。アメリカの俳優さんかと思っていたら、実はイギリス人なんですね。あんなにかわいかった男の子がこんなに気味の悪い役をやるなんて…と思いましたが、本当に気持ち悪いです。ドラマの最初のころは母親思いな好青年を演じていますが、徐々に精神を分裂させていく過程でどんどん気持ち悪い人になっていきます。演技がうまいですねー。少しずつ壊れていって、途中ノーマの寝間着を着て狂気じみた姿で話すノーマンの姿は背筋が凍る感じです。
ちなみにフレディ、子供のころから多くの作品に出演してきていて、TVドラマもこのベイツモーテルのほかに「グッドドクター」に出演しています。アメリカの作品によく出演しているのですが、実はあまりアメリカが好きではないのかも?と思うような発言をしています。
僕は、現実とは何なのかを考えながら、正常な感覚を持てていることを、いつも幸運だと思うよ。おそらく、僕は、ひどい罠が仕掛けてあるアメリカには引っ越してきていないから、そう思えるんだろうね。僕の家族は僕のことを信じられないくらいに家から出したがらないんだ。それに、映画からも離れているので、僕の普段の生活は最高だよ。僕が思うには、芝居は人生の添え物なんだ。プロとしてやるには耐えられない。必要に迫られていたり、仕事としてやるというよりも、趣味として芝居を考えているんだ。
「ひどい罠が仕掛けてあるアメリカ」とかイギリス人っぽい皮肉ですね。「プロとして芝居をするには耐えられない」なんて言っているので、そのうち俳優をやめちゃうのかしら。
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海外ドラマ『ベイツモーテル』のキャストを紹介② ノーマンの母ノーマのファッションが素敵!
このドラマでもノーマンの母ノーマはいわゆる「毒親」でヒステリックなところがあって、過保護&過干渉。息子をコントロールしようとするし、息子との距離が…近すぎます。あの年で一緒のベッドでぴったり寄り添って寝るとか、ナイナイ!でも「こんな母親に育てられたから息子が殺人鬼になった」というほどの毒っぷりではないような気がします。それが余計にノーマンの異常さを際立たせているんだなと思います。
劇中のノーマはとてもおしゃれで魅力的。料理も上手だし家事もテキパキこなします。見方を変えれば、むしろいいお母さんなんじゃないかと思えてくるくらいです。私はあんなにマメに息子の世話なんてできないなー。
ただ一つ、よくわからないのは、こんなに息子を大切に思っているのに、なんでホワイトパインベイのような麻薬産業で成り立っている町に移り住んだんでしょうか。もっといい場所があったでしょうに。ノーマの最初のデート相手も悪徳警官だし。取り巻く環境もノーマンのその後に影響したのでは?と思います。
そんな暗ーい雰囲気の中で、際立っていたのはノーマの衣装ですね。ノーマの髪型や衣装などは、映画『サイコ』が作られた1960年代のファッションを取り入れていて、クラシカルではあるけど古臭さを感じさせない品のある衣装です。
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海外ドラマ『ベイツモーテル』のキャストを紹介③ ノーマンの兄ディランってかっこいい!ディランの父親は誰?
ノーマンの異父兄で麻薬の売人である兄ディラン。肩書だけで一番ヤバいやつに見えますが、実はこのドラマの中では一番まともです。しかもイケメン~♪ 母のノーマとも弟のノーマンともそりが合わず(でしょうね。あんなべったり親子の間に入る隙間なんて絶対にないでしょうから)離れて暮らしていますが、ふとしたきっかけでノーマンたちの移り住んだ街で暮らすことになります。あの毒母に小さい頃から突き放され、ノーマンよりディランのほうがよっぽどつらい思いをして育ってきたんじゃないかなと思うのですが、ちゃんと育ってるんですよねー。でもディランも結局はノーマのことが憎めなかったんですね。なんだかんだ言って弟にも優しいし。このドラマで唯一の癒し系キャラじゃないでしょうか。
ディラン役のマックス・シエリオットはシーズン5の第4話の監督も務めているそうですが、アメリカのテレビドラマ俳優さんってこの手のパターンが多いですね。そうやって、俳優以外のキャリアも積んでいける環境っていいですね。日本でもやってみたらいいのに。
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海外ドラマ『ベイツモーテル』のキャストを紹介④ エマがかわいい!エマってどんな病気なの?
ノーマンに恋心を寄せているのが嚢胞性線維症を患っている17歳のエマ。あまり長く生きられないからせめて…と重い酸素ボンベを引きずりながら、できる限りのしたいことをしています。途中、病状が悪化して肺移植を受けますが、手術が無事に成功してよかった!癒し系のディランとくっついて幸せになってほしいです。
エマを演じるオリビア・クックもフレディと同じく子供のころから活躍しているイギリスの俳優です。最近Amazonオリジナルの『モダン・ラブ』というドラマでホームレスの妊婦役を好演していました。ベイツモーテルとは対照的にとてもあたたかい気持ちになるいいドラマです。超おすすめ!
オリビアはこのベイツモーテルで注目度が上がり、主演作も決定しているそうです。これからが楽しみな俳優さんですね。
海外ドラマ『ベイツモーテル』の裏話。ロケ地はどこ?時代設定は?
そもそもサイコ(サイコパス)って何?
なんとなぁーく「アブない人」ってイメージはありますが、ちょっと調べてみました。
サイコパスとは、反社会性パーソナリティー障害の人のこと。
ふむふむ。自己中心的で人のことを考えない…というよりは考えられないという感じでしょうか。さらに調べてみると…
良心が異常に欠如している
他者に冷淡で共感しない
慢性的に平然と嘘をつく
行動に対する責任が全く取れない
罪悪感が皆無
自尊心が過大で自己中心的
口が達者で表面は魅力的
なんか、こういう人って時々いるような…
サイコパスは、男性の3%、女性の1%が該当するといわれており、日本全体でみればその数は150万人にものぼります。
結構いるんですね。ちなみにサイコパスは先天的なものらしく、育成環境から後天的に反社会性パーソナリティ障害になった人のことはソシオパスというそうです。アメリカン人の25人に1人はソシオパスだという話もあります。サイコパスやソシオパスの人=犯罪者によくいるというイメージですが、実際には社会的に成功している人も多くいるそうですよ。
『ベイツモーテル』のロケ地について
多くのロケはカナダのバンクーバーに建てられたセットで行われました。映画『サイコ』に出てくるベイツ家を忠実に再現したセットには天井がなく、CGIで付け加えられたそうです。元は古いゴミ捨て場の跡地で、道の反対側には今でもゴミ捨て場があるため、ロケ地にはいつも悪臭が漂っていたそうです。そんな環境で何シーズンも撮影していただなんて信じられない!ほかにいいところ、なかったのかしら。シーズン1の最初のころは、主演のフレディがケンブリッジ大学の学生だったことから、大学周辺でロケをしていたそうですがどのシーンなんでしょうね。撮影地がアメリカだったり、カナダだったり、イギリスだったり、海外ドラマって国をまたいでいろいろなところで撮影しているんですねー。予算がたっぷりあるんでしょうねー。
いかがでしたか?
蒸し暑い夏の夜、ベイツモーテルを見て涼しくなってみるのもいいかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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